自筆証書遺言書保管制度|法務局への申請と検認の違い(コラム32)
自分で遺言書を書く場合、作成した原本を自宅に置いておく方法のほか、法務局(遺言書保管所)へ預ける「自筆証書遺言書保管制度」があります。紛失・改ざんなどへの備えに役立つ一方、法務局で保管されれば内容が必ず有効になる、という制度ではありません。
法務局に預けるメリット
自筆証書遺言書保管制度では、本人が作成した所定の形式の遺言書について、法務局が原本と画像データを保管します。法務局は保管申請時に方式面を確認し、遺言書の所在が分からなくなることや、手元での紛失・改ざんのリスクを抑えるのに役立ちます。
公正証書遺言とは別の制度
自筆証書遺言は原則として遺言者が自筆で作成する方式です。公証人が関与して作成する公正証書遺言とは、作成方法や必要な手続が異なります。保管制度の利用だけで、遺言内容が法的に有効か、遺留分などに問題がないかまで保証されるわけではありません。
本人申請と管轄の確認
自筆証書遺言書の保管申請は遺言者本人だけができます。代理人による申請や郵送申請はできず、本人が事前予約をした遺言書保管所の窓口へ出向きます。申請先として選べるのは、遺言者の住所地、本籍地、または所有する不動産の所在地を管轄する遺言書保管所です。2通目以降の保管申請には原則として最初の保管先を利用するため、最初の申請先選びにも注意が必要です。
法務省:保管申請の手続と持参書類 / 法務省:申請先の管轄一覧
申請時に確認すること
- 遺言書を本人の意思で作成したか、法令・所定の様式に適合するか
- 申請先となる遺言書保管所、予約、本人確認書類など
- 住所・本籍等の申請書記載内容と添付資料
- 遺言者死亡後の通知制度や家族への伝え方
法務省の手数料案内では、遺言書1通の保管申請は3,900円とされています。予約や提出書類、手数料の最新条件は申請先の案内を確認してください。
保管した遺言書は家庭裁判所の検認が不要
法務局の保管制度を利用した自筆証書遺言書は、相続開始後に家庭裁判所での検認が不要です。これは遺言書の有効性を裁判所が認定した、という意味ではありません。相続人等は制度所定の閲覧や証明書の請求を通して内容を確認します。
事前に整理しておきたい事項
遺言の対象となる財産、相続人との関係、実現したい分け方を整理しておくと、方式だけでなく内容面の検討もしやすくなります。紛争性のある案件や法律判断が必要な場合は、弁護士など適切な専門職への相談も必要です。一般的な書類整理については相続・遺言・生活設計をご覧ください。
関連コラム:相続登記の義務化と期限(コラム33)/任意後見制度と開始手続(コラム34)。遺言書保管、相続登記、任意後見はそれぞれ異なる手続です。
参考:公的資料
確認日:2026年10月29日。本記事は制度の一般的案内であり、個別の遺言書の有効性や相続紛争の解決を保証するものではありません。ご相談はお問い合わせからお知らせください。

