任意後見制度とは|公正証書で決めることと家庭裁判所での開始手続(コラム34)
年齢を重ねた後の財産管理や契約手続について、家族に負担をかけないため、判断能力が十分なうちに準備する方法の一つが任意後見制度です。法定後見とは、後見人となる人の選び方や、開始の仕組みなどが異なります。
任意後見は判断能力があるうちに契約する
任意後見制度は、本人が十分な判断能力を持つ間に、将来、判断能力が不十分になった場合に備え、誰にどの事務を任せるかを決めておく制度です。本人と任意後見受任者が公正証書による任意後見契約を締結します。希望する人の名前だけを家族に伝えたり、通常の委任状を渡すだけでは、任意後見契約としての要件を満たしません。
契約を結んだ直後から任意後見が始まるわけではない
任意後見契約の効力が生じるのは、判断能力が不十分になり、家庭裁判所が任意後見監督人を選任した時です。契約を締結した時点では、任意後見人としての代理権が直ちに始まるわけではありません。判断能力が低下した際には、本人や任意後見受任者、家族等が家庭裁判所への選任申立てを検討します。
どのようなことを任せられるのか
財産管理や生活・療養看護に関わる各種契約、必要な支払・手続など、代理してもらう事務の範囲を契約で具体的に決めます。任意後見人は契約で与えられた範囲の代理権を行使します。法定後見の場合と異なり、任意後見人には本人がした契約を取り消す権限はありません。
任意後見監督人は誰が選ぶ?
監督人は家庭裁判所が選任し、任意後見人の業務が契約に沿って適切に行われているかを確認します。法務省は弁護士・司法書士・社会福祉士などの専門職が選ばれることも多いと説明しています。任意後見人となる人自身や、その配偶者・直系血族・兄弟姉妹等は任意後見監督人になれません。監督人の費用や報酬を含む負担についても事前に確認すると安心です。
任意後見監督人の選任申立てで確認すること
判断能力が不十分になった後の監督人選任は、本人・配偶者・4親等内の親族・任意後見受任者が家庭裁判所に申し立てることができます。本人以外の申立てでは原則として本人の同意が必要ですが、意思表示ができない場合は例外があります。家庭裁判所は提出書類・本人の状況等を確認して監督人を選任します。
申立ての前に、公正証書による契約、任意後見契約の登記状況、診断書、本人の財産・収支、受任者の連絡先など、家庭裁判所の案内に従って必要書類を確認してください。裁判所:任意後見監督人の選任申立て、厚生労働省:任意後見制度の流れと費用が参考になります。監督人への報酬等の費用負担も契約前に見込むことが重要です。
家族関係と将来の準備
再婚家庭では、本人の財産、配偶者の財産、相続と介護に関する希望、緊急連絡先を分けて整理しておくことが重要です。任意後見は遺言書や相続手続の代わりではなく、主に本人が生きている間の事務を支える制度です。生活設計や書類の整理については相続・遺言・生活設計、熟年再婚に関する一般的な準備は熟年結婚・再婚の手続相談をご覧ください。
関連コラム:自筆証書遺言書の保管制度(コラム32)/再婚後の相続の確認事項(コラム23)。任意後見契約は生前の支援制度であり、遺言・相続の手続を代替しません。
公的資料
内容確認日:2026年10月29日。個別の契約設計、代理権の範囲、裁判所の申立手続等は、公証役場・家庭裁判所、必要に応じた法律専門職へご確認ください。相談内容の整理についてはお問い合わせからご連絡ください。

