36協定の基本|残業・休日労働を始める前の確認事項(コラム31)

従業員の残業や法定休日の勤務を予定している場合、労働条件の取り決めとは別に「36協定」の締結と届出が必要になることがあります。特に、初めて人を雇う事業所では、雇用契約書の作成だけで準備が終わったと思い込まないことが重要です。

36協定とは何か

36協定は、法定労働時間を超える時間外労働や法定休日労働を行わせる場合に、使用者と労働者側との間で締結する労使協定です。原則となる法定労働時間は1日8時間、週40時間です。法定時間を超える残業等を行わせるには、適切な相手方と協定を結び、所轄労働基準監督署へ事前に届け出る必要があります。

代表者の選出にも注意が必要

協定の締結相手は、労働者の過半数で組織する労働組合、または要件を満たす労働者の過半数代表者です。代表者を使用者が一方的に指名したり、選出目的を明らかにせず決定したりすると、協定の有効性に問題が生じることがあります。

残業時間には上限がある

一般的な上限規制では、時間外労働は原則として月45時間・年360時間が限度です。対象期間が3か月を超える1年単位の変形労働時間制では、原則の限度時間は月42時間・年320時間です。臨時的な特別の事情がある場合には特別条項の制度がありますが、その場合も上限や適用条件が設けられています。建設業、自動車運転の業務、医師などは別途確認すべき規則・経過措置等があるため、業種に応じた確認が必要です。

特別条項でも守るべき上限

一般的な事業・業務では、臨時的な特別の事情があり、特別条項付き36協定を締結した場合でも、時間外労働は年720時間以内、時間外労働と法定休日労働の合計は月100時間未満・2~6か月平均がいずれも月80時間以内でなければなりません。また、原則の月45時間を超えて時間外労働を延長できる月数は年6か月までです。

月100時間未満・複数月平均80時間以内という基準は、特別条項がない場合にも時間外・休日労働の合計で確認する必要があります。建設業・自動車運転の業務・医師には適用される特例が異なるため、業種を確認してください。厚生労働省:上限規制と業種別特例を参照できます。

協定を結んでも割増賃金は必要

36協定の届出と割増賃金の支払いは別の問題です。法定時間外労働・法定休日労働・深夜労働に関する割増賃金、勤怠記録や労働時間の管理を適切に行う必要があります。また、就業規則の作成・届出義務は常時使用する労働者数などによって判断する別制度です。

相談前に整理しておきたい事項

  • 事業所ごとの従業員数と勤務形態
  • 法定時間外労働・法定休日労働を行わせる予定の有無
  • 対象となる業務と繁忙期、予定する延長時間
  • 労働者代表者の選出方法と既存の協定の有効期間
  • 労働条件通知書、就業規則、勤怠記録と賃金計算方法

協定様式や届出の必要性は、事業場・業種・具体的な働き方により異なります。当事務所の労務管理相談でも、関連する確認事項を整理しています。ご不明な点はお問い合わせからご相談ください。

関連コラム:従業員を雇用する前の手続(コラム21)/労働条件通知書と雇用契約書(コラム6)。36協定と労働条件の明示は別の義務です。

公的資料

最終確認:2026年10月29日。この記事は一般的な制度案内であり、個別案件の判断や結果を保証するものではありません。